VOLTIQとシマノDCは何が違うのか|電子制御ブレーキの作動タイミングを比較
アブガルシアのVOLTIQと、シマノのDCブレーキは、どちらも電子制御ブレーキです。
どちらもスプール回転を電子的に制御し、バックラッシュを抑えながらキャストを安定させる仕組みです。
ただし、同じ電子制御でも、制御の考え方はかなり違います。
大きな違いは、ブレーキをかけるタイミングです。
この記事では、VOLTIQとシマノDCの違いを、作動タイミング・ダイアル設定・飛距離・使用感・価格帯などから整理していきます。
まず押さえたい違い|VOLTIQはポーズ、シマノDCは継続制御
VOLTIQとシマノDCの違いを一言でまとめると、こうなります。
| アブガルシアVOLTIQ | シマノDC |
|---|---|
| 加速中はブレーキを休ませ、ピーク後に制御する バックラッシュが起こりやすい減速域をアルゴリズムで重点的に制御する設計 | キャスト直後からスプール回転を検知し、継続的に制御 モードやラインに応じたブレーキカーブ(プロファイル)を持ち、向かい風や様々なルアーでもトラブルレスに遠投できるよう「常に最適ブレーキを当て続ける」コンセプト |
VOLTIQは、ルアーに引っ張られてスプールが加速している間は、あえてブレーキをかけないモードを持っています。シマノDCは、スプール回転を細かく検知しながら、キャスト中にブレーキをかけ続ける方向です。
- VOLTIQは「抜け感」と「飛距離」を狙いやすい思想
- シマノDCは「安定感」と「継続制御」を重視する思想
どちらが上というより、狙っている気持ちよさが違うということですね。
VOLTIQのブレーキポーズシステム(プロモード)
VOLTIQの最大の特徴は、ブレーキポーズシステムです。プロモード(ダイアル1〜3)で作動します。
このモードでは、キャスト直後にスプールが加速している間はブレーキをかけません。その後、スプール回転のピークタイミングを予測し、回転が落ち始めるタイミングからブレーキを作動させます。
| キャスト局面 | VOLTIQプロモードの動き |
|---|---|
| スプール加速中 | ブレーキをかけない |
| 回転ピーク付近 | 作動タイミングを予測 |
| 減速局面 | 必要に応じてブレーキをかける |
メリット: 加速中のブレーキロスを減らせるため、飛距離を伸ばしやすい。特に空気抵抗の少ないルアー・追い風・しっかりサミングできる場面では効果的です。
デメリット: サミング技術が必要。空気抵抗の大きいルアーや、横風・向かい風では糸が浮きやすくなる可能性があります。
VOLTIQのレギュラーモードとダイアル設定
VOLTIQには、安定性重視のレギュラーモード(ダイアル4〜10)もあります。こちらはスプール回転直後からブレーキが作動します。
| ダイアル | モード | 特徴 |
|---|---|---|
| 1〜3 | プロモード | ブレーキポーズ作動。飛距離重視 |
| 4〜10 | レギュラーモード | 回転直後から制動。安定性重視 |
ダイアル4は飛距離と安定性のバランスが取りやすく、多くの人が基準にしやすい設定です。ダイアル5以上はブレーキが強くなり安心感は増しますが、最後の伸びは落ちやすくなります。
| ダイアル | 向いている使い方 |
|---|---|
| 1〜3 | 上級者向け。遠投・追い風・空気抵抗の少ないルアー |
| 4 | 万能設定。まずここから |
| 5〜6 | ビッグベイト・空気抵抗が大きいルアー・安定性重視 |
| 7〜10 | 強風・逆風・バックラッシュを極力避けたい場面 |
VOLTIQは外部10段階のダイアルだけで調整できるためシンプルですが、プロモードとレギュラーモードでキャストフィールがかなり変わるため、ダイアルごとの特性を理解して使うことが重要です。
シマノDCはキャスト中の継続制御
シマノDCは、キャスト直後からスプール回転を検知し、飛行中もブレーキを制御し続けます。スプールの回転数や回転変化を読み取り、必要に応じてブレーキをかけます。
| キャスト局面 | シマノDCの動き |
|---|---|
| キャスト直後 | スプール回転を検知 |
| 飛行中 | 回転変化に応じて制御 |
| 後半失速時 | バックラッシュを抑える方向に制御 |
強み: 向かい風や空気抵抗の大きいルアーでも安定しやすく、オートマチックな安心感がある。
注意点: 設定によっては「ブレーキが効きすぎて伸びが落ちる」と感じることもあります。抜け感やマニュアル感では好みが分かれます。
ダイアル設定の違い
| 項目 | VOLTIQ | シマノDC |
|---|---|---|
| 調整方法 | 外部10段階 | 機種により外部・内部の組み合わせ |
| 分かりやすさ | シンプル | 機種ごとの理解が必要 |
| 細かさ | 10段階 | 4×8DCなどは非常に細かい |
| 初期設定 | ダイアル4から始めやすい | モード理解が必要 |
シマノDCは機種によって設定方法が異なります。I-DC4やI-DC5は外部ダイアルと内部モードの組み合わせ。上位機種の4×8DCは、外部4段階と内部8段階を組み合わせてより細かく設定できます。
VOLTIQは外部ダイアルだけで完結する分、分かりやすい。シマノDCは機種ごとの設定を理解すれば、より細かく詰められます。
なお、最近のDCリールには、新しいI-DC5が搭載されはじめていて、これは外部ダイアル2つで完結できます。
飛距離・使用感の違い
| 重視すること | 向いているブレーキ |
|---|---|
| 抜け感・遠投感 | VOLTIQ プロモード |
| 安定感・向かい風 | シマノDC |
| サミング前提で飛ばしたい | VOLTIQ |
| ノーサミング寄りで安定させたい | シマノDC / VOLTIQ ダイアル4以上 |
| フィーリング | VOLTIQ | シマノDC |
|---|---|---|
| 抜け感 | 出しやすい | 機種・設定次第 |
| 安定感 | ダイアル次第 | 高い |
| サミングの必要性 | プロモードでは必要 | 比較的少ない |
| オートマ感 | 弱め | 強め |
| マニュアル感 | 強め | 弱め |
VOLTIQのプロモードは、電子制御でありながらアナログブレーキに近い抜け感があります。スプールが気持ちよく抜けていく一方で、糸が浮く場面ではサミングが必要です。リールに任せきるのではなく、釣り人の操作も重要になります。
シマノDCは、よりオートマチックな安心感があります。向かい風や失速に強く、トラブルを抑えやすい。ただし、ブレーキが制御している感覚を強く感じる場合もあります。
近い価格帯で比べてみます
VOLTIQを検討するとき、前述の通り近い価格帯で比較されやすいのはシマノのSLX DC系、クラドDCになるでしょう。
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|---|---|---|---|---|---|---|
| モデル名 | 22 SLX DC XT 70HG | 22 クラド DC 200HG | 23 SLX DC 70HG | 26 REVO5 SX VOLTIQ H | 26 REVO5 X VOLTIQ H | 26 Roxani VOLTIQ |
| メーカー | シマノ | シマノ | シマノ | アブガルシア | アブガルシア | アブガルシア |
| ブレーキ | I-DC5 | I-DC4 | I-DC4 | VOLTIQ | VOLTIQ | VOLTIQ |
| 自重(g) | 200 | 225 | 200 | 220 | 215 | 182 |
| 最大ドラグ(kg) | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 11.3 | 9.1 | 9 |
| 最大巻取(cm) | 75 | 81 | 75 | 80 | 76 | 84 |
| スプール径(mm) | 33 | 35 | 33 | 35 | 33 | 33 |
| スプール幅(mm) | 21 | 28 | 21 | 22 | 22 | 22 |
| スプール重量(g) | 17 | 21 | 17.6 | 17.5 | 17 | - |
| ギア素材 | 高強度ブラス | 高強度ブラス | 高強度ブラス | ブラス | ブラス | 超々ジュラルミン |
| フレーム素材 | アルミニウム | アルミニウム | アルミニウム | 高強度アルミ | カーボン樹脂 | カーボン樹脂 |
| 定価(円) | 35,000 | 33,300 | 27,500 | 32,000 | 25,000 | 32,000 |
やはりVOLTIQは電子制御ブレーキ搭載機としては、かなり手に取りやすい価格帯ですが、価格が安いぶん、巻き感・精密感・スプールレスポンス・制御の完成度では上位DC機と差がある可能性があります。
また、価格以外にも実は結構差分があることが表を見るとわかると思います。
Roxani VOLTIQの軽さは抜きにでていますね。
クラドはスプール幅がすごく広いので、キャストフィールはお世辞にもいいとはいえません。
こんな人に向いている
VOLTIQが向いている人
- 電子制御ブレーキを手頃な価格で試したい
- サミングも使いながら飛距離を出したい
- アナログブレーキに近い抜け感も欲しい
- 10〜20g前後のルアーを中心に使う(バス・ライトソルト)
特にREVO5 X VOLTIQは、33mmスプールで電子制御ブレーキの入門機として分かりやすい存在です。
シマノDCが向いている人
- 向かい風や失速への安定感を重視したい
- ノーサミング寄りで安心して投げたい
- 電子制御の完成度・質感を求めたい
- 長年作り込まれたDCのフィーリングを使いたい
シマノDCは、SLX DCからアンタレスDC MDまで用途別にラインナップが広く、DCブレーキとしての完成度・安心感を重視するなら選びやすいです。
まとめ|VOLTIQは価格と抜け感、シマノDCは安定感と完成度
| 重視すること | 選びやすいブレーキ |
|---|---|
| 価格 | VOLTIQ |
| 抜け感・遠投感 | VOLTIQ(プロモード) |
| 安定感・向かい風 | シマノDC |
| 完成度・質感 | シマノDC |
| シンプルな外部調整 | VOLTIQ |
| 細かい設定 | シマノ4×8DC |
VOLTIQは、シマノDCの単なる廉価版ではありません。加速中にブレーキをかけないという、独自の思想を持った電子制御ブレーキです。ただし、完成度や安心感では、シマノDCのほうが強い場面もあります。
- VOLTIQは価格と抜け感
- シマノDCは安定感と完成度+巻きの質感
この違いを理解して選ぶと、電子制御リール選びはかなり分かりやすくなります。
enjoy fishing life.







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