中華DCリールはなぜおすすめしにくいのか|フィネス×DCの矛盾と作りの粗さ

最近、AliExpressなどで中華ベイトリールを見ると、DCブレーキ搭載をうたうモデルがかなり増えています。

しかも安い。ものによっては5,000円前後で買えてしまうこともあり、「DCリールがこの価格で買えるなら、試してみたい」と思う人も多いはずです。

事実Youtubeでもレビュー動画が増えてきています。

では、中華DCは手放しにおすすめできるのか?という問いにはどう答えるべきか。

私も中華ベイトリールを15台ほど購入しており、DCも手元に3台あるのですが、現時点ではおすすめしにくいです。

理由は、DCブレーキそのものがまったく使えないからではありません。

ブレーキはきちんと効きます。ただ、問題はそこではありません。

中華DCリールは、リールとしての完成度があまり高くないと感じています。

特に気になったのは、次の2点。

  • フィネス寄りスプールにDCを載せる設計の違和感
  • サイドプレートやシャフト受けまわりの作りの粗さ

この記事では、中華DCリールを実際に買って感じたことを、シマノDCとの違いも含めて整理します。

目次

中華DCリールが増えている

中華ベイトリールは、ここ数年でかなり増えました。

マグネットブレーキのベイトフィネス機。
超軽量スプールのリール。
金属ボディをうたう高級寄りモデル。
そして最近増えているのが、DCブレーキ搭載モデルです。

検索すると、DCリールを名乗る中華ベイトリールが大量に出てきます。

https://ja.aliexpress.com/w/wholesale-DC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AB.html?spm=a2g0o.home.search.0

価格はかなり安く、シマノのDCリールと比べると桁が違うものもあります。

この価格で電子制御ブレーキのようなものが体験できるなら、面白いと思うのは自然です。

ただ、実際に使ってみると、単純に「安いDCリール」とは言いにくいものでした。

DCブレーキそのものが問題なのではない

まず、誤解しないように書いておくと、中華DCリールのDCブレーキが使えないという話では全くありません。

ブレーキはちゃんと効きますし、キャスト時にDCらしい制御感もあります。

マグネットブレーキだけの安いリールより、安心して投げられる場面もあります。

ただ、それだけで「使いたいリール」になるわけではないのですよね。

必要条件は満たしている、でも十分条件が足りない。

  • スプールの回転精度
  • シャフトの支持
  • サイドプレートの剛性
  • フレームの精度
  • クラッチの感触
  • ギアの巻き感
  • レベルワインドの動き
  • ハンドルまわりの剛性感

こうした要素がすべて合わさって、そのギアの魅力が形成されていきます。

中華DCリールを使っていて感じたのは、DCブレーキ以前に、このリール本体の部分が弱いということでした。

そもそもフィネス×DCは相性が悪い

中華DCリールで気になるのは、30mm以下の小径スプールを採用したモデルが多いことです。

つまり、かなりフィネス寄りなわけですが、ここにDCブレーキを載せること自体に、かなり違和感があります。

軽いルアーを投げるには、スプールの立ち上がりが重要です。

1g、2g、3gといった軽量ルアーでは、ルアーがスプールを回す力が小さい。

だから、スプールはできるだけ軽くしたい。

ところがDCブレーキは、構造上、スプール側に制御用の部品や要素が載りやすくなるので、その分スプールは重くなりやすい。

つまり、こういう矛盾が起きます。

フィネスに必要なことDC化で起きやすいこと
スプールを軽くしたいスプールが重くなりやすい
立ち上がりを軽くしたい初速が鈍くなりやすい
軽いルアーを投げたいルアーがスプールを回しにくい

これはかなり根本的な問題です。

フィネスリールに求められるのは、軽いスプールと軽い立ち上がりです。

そこにDCを載せると、ブレーキとしての面白さは出ても、軽量ルアーに必要なレスポンスを失いやすい。

この時点で、フィネス×DCという組み合わせはかなり難しいと思っています。

シマノもフィネスではDCを使っていない

この点で参考になるのがシマノです。

シマノはDCリールを長く作ってきたメーカーですが、シマノはどのルアー重量帯にも無理やりDCを載せているわけではありません。

アルデバランDCが30mm径ですが、それ以外は33mm以上です。

ある程度のスプール径。
ある程度のルアー重量。
遠投。
向かい風。
安定性を重視する場面。

こうした条件では、DCはかなり強い一方で、本気で軽いルアーを投げるベイトフィネス領域では、シマノはFTBのような磁力系ブレーキを使っています。

これはかなり示唆的です。

軽いルアーを投げるなら、スプール側を軽くしたい。

だから、フィネス領域ではDCではなく、スプール側の負担を減らせるブレーキ方式を選ぶ。

この考え方は理にかなっています。

つまり、DCにはDCが合う場面があります。

何でもDCにすれば良いわけではありません。

特に30mm以下の小径スプールで、フィネス用途をうたいながらDCを載せる設計には、かなり無理があるように感じます。

「DC搭載」が粗さの免罪符になっていないか

中華DCリールを見ていて感じるのは、「DC搭載」という分かりやすい売り文句が、リール本体の粗さを覆い隠しているのではないか、ということです。

5,000円前後でDCリールが買える。

これは確かにインパクトがあります。

ただ、冷静に見ると、それは「安いシマノDC」ではありません。

安いベイトリールに、DC風の電子制御ブレーキが付いているもの。

そう考えたほうが近いです。

DCという言葉が付くと、どうしても高性能に見えます。

でも、リールとしての基本性能が低ければ、DCブレーキだけでは補えません。

スプールがきれいに回らない。
クラッチが安っぽい。
巻き感が粗い。
フレームやサイドプレートの精度が低い。

こうした部分が弱いと、ブレーキがそれっぽく効いても、釣具としての満足度は上がりません。

一番気になったのはサイドプレート

私が中華ベイトで一番の出来だと思っているZANAですが、元々マグネットブレーキだったものをDC化できるスプールとサイドプレートのセットが販売されていたので購入してみました。

が、いざ装着してみると、愕然としてしまったのです。スプールが全然回転しない。

いや、サイドプレートをセットしたときに違和感はありました。すんなりはまらなかったので。

日本製品では感じたことがない精度不足がでているような不安が。

他の中華DCも持っていますが、こんなことはなかったのでこの個体だけの話かもしれません。

他にも原因がないのかと、SLXDCXTと見比べてみると、スプールシャフトを受ける部分に大きな違いがありました。

ZANA(DCキット)

SLX DX XT

おわかりでしょうか。シマノのDCリール(右)では、シャフトを受ける部分がきちんと金属で作られています。

高速で回転するスプールを支える部分なので、当然ここは重要です。

一方中華DCリール(左)は、シャフトと接する部分がプラスチックでした。しかも、作りが甘い。

スプールシャフトは、キャスト時に高速で回転する部分です。

そこを受ける部分がプラスチックで、さらに成形や組み付けの精度が低いと、摩擦抵抗が強く出ます。

すると、スプールがきれいに回りません。

DCブレーキがどうこう以前に、物理的に回転が悪くなる。

これはかなり大きい問題です。

マグネットブレーキでは完璧なZANAなのに、DCに変えるといきなりガラクタになってしまったのです。

シャフト受けがプラスチックだと何が起きるのか

スプールが気持ちよく回るには、シャフトが正しく支持されている必要があります。

シャフトと接する部分の精度が低いと、次のような問題が出ます。

  • スプールの回転が重くなる
  • キャスト初速が落ちる
  • 軽いルアーの立ち上がりが悪くなる
  • 回転にムラが出る
  • ブレーキ以前に飛距離が伸びない
  • 異音や摩擦感が出る

特にフィネス寄りのリールでは、これは致命的です。

軽いルアーを投げるには、スプールの立ち上がりが命です。

それなのに、シャフト受けの部分で摩擦抵抗が出てしまう。

もちろん、すべての中華DCリールが同じとは断言しません。

DEUKIO DCZANA MAXも同じように確認してみましたが、やはり軸受部分はプラスチック。

ただこの2台はスプールは普通に回ります。

ちょうど先日Seasirの新しく出た丸形DCリールを買ったのでもうすぐ届くと思いますが、中華メーカーの中では比較的クオリティが高いとおもっているメーカなので、それも同じ構造なのかを見たいと思っています。

オールメタルを謳っているこのリールでもシャフト受けがプラスチックで、同じような回転抵抗が出るなら、低価格中華DCリール全体に共通する構造的な限界と見てよいかもしれません。

シマノDCとの差はブレーキだけではない

中華DCリールとシマノDCリールの違いは、ブレーキ制御の精度だけではありません。

項目中華DCリールシマノDCリール
価格非常に安い高い
DCブレーキそれっぽく効く
外部ダイヤル1で設定
制御が自然で安定
ダイヤル2つで設定
スプール支持プラスチック部品が目立つものがある金属部品で精度高く支持
巻き感粗さが出やすい滑らかで安定
クラッチ安っぽさ・不安定さが出やすいカッチリしている
スプール精度個体差が大きい精度が高い
フレーム剛性樹脂系とメタル系があるが、多くは樹脂系でプラスチック感が高いメタル系のフレームで剛性感あり
総合評価おもちゃ寄りに感じるものもある道具として完成している

中華DCリールは、ブレーキだけを見ると面白いギアですが、リール全体で見ると、シマノのDCリールとはかなり差があります。

シマノDCは高い。でも、その価格にはブレーキだけでなく、リール全体の精度や耐久性、操作感も含まれています。

FishingLabの5軸で見る中華DCリール

FishingLabでは、釣り道具を5つの軸で見ます。

Spec / Feel / Affinity / Fit / Cost

このフレームで中華DCリールを見てみましょう。

評価
SpecDCブレーキ搭載というスペックは面白い
でも小口径のものが多い
安価なのはボディ素材が樹脂系
FeelDCだからといって、巻き感、クラッチ感、回転精度、剛性感がマグネットブレーキのリールより良いわけではありません
Affinityガジェット感や安さの面白さはあるが、所有感は薄い
Fit30mm以下のスプールでやれる釣りは限られます
Cost安いが、使わなくなるなら逆にコスパは悪い

安いけれど、使わなくなる。これは、釣具としてはコスパが良いとは言えません。

まとめ|安いDCではなく、安いリールにDCが付いていると考える

中華DCリールは、価格だけ見れば非常に魅力的です。

特に樹脂ボディのものは5,000円前後で電子制御ブレーキらしきものが付いたベイトリールが買える。

これは確かにインパクトがありますが、シマノDCの代わりにはなりません。

低価格のリールに、DC風のブレーキが付いているもの。そう考えたほうが近いです。

一方、マグネット系、特にインダクトローターやFTBのような機構をもっているリールはおすすめできます。
例えば、ZANA、Misurelure GT Ultraは素晴らしいリールです。

これらはダイワ、シマノのエントリーモデルよりも安価ですが、モノとしてもよくできていて、たとえばタトゥーラを買うならZANAのほうがいいといえるぐらいです。

今回はちょっと辛口にみえてしまうかもしれませんが、ベイトリールのことをある程度理解していて、割り切ってつかうのであれば中華DCはアリだとおもいますが、特にソルトでは最初の1台としてはおすすめできないかなと。

Youtuberの方々のように何台もリールを買えるわけではないので、選ぶときには慎重に。

enjoy fishing life

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